蜻蛉日記・校本・書入・諸本の研究/植村悦子/300部限定/蜻蛉日記は平安時代の女流日記としてその文学的価値は時とともに高まりつある

商品説明
蜻蛉日記・校本・書入・諸本の研究/植村悦子/300部限定/蜻蛉日記は平安時代の女流日記としてその文学的価値は時とともに高まりつある

昭和38年　1150P　。ゆうメールレターパック規格外　部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

序
蜻蛉日記は平安時代の女流日記として、その文学的価値は時とともに高まりつある。当時の実 力ある政治家兼家の妻とし、また一子道綱の母として幸福らしい身分にありながら、必ずしも満ち たりた生活ではなく、なやみ苦しみ、嫉妬もして次第に母としての愛情に生きる諦念の生活に入っ てゆく。その生涯は、王朝の一女性としてのみでなく、女の一生の運命のようなものを感じさせ る。その生活や心情をありのまゝに描いた手法も、類まれなすぐれた写実的な文学となっている。 この日記は長く認められなかったが、近世の初期に松下見林や契沖が注目し、契沖が水戸家の本 を得て自筆で書入れを加えたのは、この日記の研究としても注目される。近世の末には坂?仲文甫 の蜻蛉日記解環がつくられている。明治時代の後期に自然主義文学の盛んになった頃、田山花袋は この日記に目をつけて作品に書いている。大正五六年頃、垣内松三先生が「日記随筆に現われた日 常生活」という講義を東京帝国大学で行われたのは、日記文学に着目されたほゞ始めと思われたが 私も大正十四年頃に大学の演習としてこの日記を数度扱っておる。


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